靖臣「うーーん、うわぁ!!」 えらく嫌な夢を見た気がする 靖臣「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」 息を整えて時間を見る 靖臣「六時・・・か」 珍しく早く起きてしまった、もっとももう眠気もないが 靖臣「・・・顔洗うか・・・」 一階に降りて二、三度顔を洗う。 落ち着いてきたところで制服に着替える その間、俺は写真を見ようとはしなかった 今までは写真を見ることに喜びを感じていた、だが今は違う 『我が半身を奪いし者よ  我はその報いに、汝の記憶を奪おう  だが、ただ奪いはせぬ  いつ失われるとも知れぬ恐怖と共に日々を生き  そして、幸福を闇へと飲み込まれる絶望の中で記憶を失うがいい・・・・』 そんな声が頭の中に響いていた、そんな言葉信じたくなかった だが、昨日の事もある、もし写真を見てまた親しい人の事がわからなくなっっていたら 俺は絶望の淵に叩き込まれることになる 涼香「オミくん・・・・って珍しく起きてる!?」 靖臣「すずねえ、そこまで驚くことはないだろう」 俺はもう考えるのをやめた、どうせ夢なのだから そう、信じて・・・・ 涼香「それじゃあ今から朝食の用意をするから、まってるんだぞっっっっっ」 靖臣「ああ、わかった」 そう返事をするとすずねえは嬉しそうに一階におりていった その時、『ズキン!!』 俺の古傷がかすかに痛んだ、それと共に何かが俺の中から崩れ落ちているような錯覚にとらわれた それから先はよく覚えていない、朝食をとり、いつものように学校に向かった そして自分の教室に向かい、一人一人クラスメートの顔を確認して 記憶にあるかどうかを確かめていった、何でそんなことをしようと思ったのかよくわからない たぶん、不安を拭い去る為だろう。 靖臣「ふう・・・・」 クラス全員と先生を確認したところで俺はため息をついた 靖臣「なんだ・・・何てことないじゃないか」 俺の記憶の中にはちゃんと全員の記憶があった そうわかるとまた俺はいつも通りの日常に戻った 初子が計画を立て、忠介が実行し、俺とカナ坊が被害を受ける そんな何でもない日常に・・・・ 初子「靖臣、今日珍しくハイテンションね」 靖臣「そうか」 昼休みに入ってまもなく初子が言ってくる 忠介「今日は午前の授業を三つもつぶしたからね」 靖臣「言われてみればハイテンションだったな」 若菜「先生たち、泣いてたんじゃないカナ」 まああれだけ崩壊させればなあ・・・・・ そんなことを話していると 鞠音「すいません・・・・オミ先輩は・・」 鞠音が教室に来た 靖臣「ここだ」 俺の声を聞き鞠音がやってくる 靖臣「で、なにようだ」 鞠音「今日もお弁当作ってきたんです」 靖臣「そうか、じゃあ屋上に行くか」 俺はそういうと立ち上がり忠介達に軽い挨拶をして鞠音と共に屋上に向かう それからは以前のように一緒に昼食をとった 鞠音の料理は本気で美味い、下手すりゃ商売ができるぐらいだ 鞠音「でも先輩、最近調子いいですよね」 靖臣「そうか?」 飯を食い終わって心地よい眠気が来る時に話し掛けられた 鞠音「そうですよ。もしかしたら真田先輩と互角の力があるんじゃないんですか」 真田・・・・? 誰だそれ、鞠音の様子を見てみると俺が知っている人のようだ でも、俺の記憶の中にはない、 『我はその報いに、汝の記憶を奪おう』 またあの声が聞こえてきた、俺は言いようのない不安に駆られていた 鞠音「ど、どうしたんですか先輩!?」 鞠音が近づいてくる、俺は思わず鞠音の肩を掴んでいた 靖臣「鞠音・・・真田って誰のことなんだ・・・・?」 声が震えているのが自分にもわかる 鞠音「何言ってるんですか先輩、真田武彦先輩ですよ、オミ先輩が中学の時に水泳を教えてくれた」 鞠音の言葉は俺への死刑宣告に等しかった 鞠音「せ・・・先輩!?どうしたんですか、顔真っ青ですよ!?」 靖臣「鞠音・・・・」 俺は必死で声を絞りだした 靖臣「今から俺が言うことをよく聞いてくれ・・・・・」 靖臣「・・・と言うわけなんだ・・・・」 鞠音「じ・・冗談ですよね?」 やはり鞠音は信じられないと言った表情になっていた 靖臣「まりね・・・・・」 声だけでなく、全身が震えてきているのがよくわかる 靖臣「紛れもない事実なんだ・・・・」 鞠音「嘘ですよ、神社のご神体の呪いで記憶がなくなっていくなんて信じられません」 靖臣「俺、今お前が言った武彦って人のこと覚えてないんだ」 鞠音「え!?」 靖臣「多分、どんどん忘れていく。記憶が削られていく。    誰のことを忘れるかも知れない。誰の思い出をなくしていくのかも知れない。       ・・・いつ記憶が消えていくのかも知れない」 靖臣「俺のことも・・・・鞠音の・・・ことも」 鞠音「先輩・・・・・」 靖臣「多分、それを止める事は出来ない、だから俺の残った時間の中で    鞠音に俺がもってる出来るだけの思いを伝えたい・・・・」 鞠音「ボク・・・信じられません・・・・・」 ・・・そうだろうな・・・信じろと言う方が無茶な話だ でも・・・・・・・・・・・ 靖臣「わかるさ、そのうちに。・・・俺と一緒にいるつもりなら・・・・な」 そう・・・・・ 今こうして話している間にも俺の記憶は次々と崩れ落ち、失われているのだろうから。 子供の頃。 あの日に経験したことは現実だった。 俺はあの時間違いなく水晶の、ご神体の呪いを受けたのだ・・・・ そして、意識不明だったあの時、夢の中で見た女がいったように、 俺は、何もかも失うのだ。 両親の記憶を失ったあの日から、それは覚悟していたつもりだった。 ただ自分の中で、二つの気持ちがあったのは事実だ。 崖から落ちたショックで記憶を失ったという事と 本当にご神体の呪いのせいで記憶が失われたという事 もし、後者だとするならば、俺はいずれ、全てを失うはずだった。 俺はあの女の言った通り、いつ失われるとも知れない記憶を恐怖と共に積みかさねていくのだ その恐怖は、俺から、希望を奪った。 そして記憶を失うと言う事が、どういう悲劇をもたらすのか、 俺はあの事故の後、嫌というほど知らされたのだ。 俺は事故の後俺の両親だと言う若い夫婦に引き取られた 俺には両親だと言う認識はなかっただが若い夫婦はやさしかった 俺にはその恩に報いたいという気持ちだけがあった しかし、そんな生活も長くは続かなかった 俺は夫婦が話しているのを聞いてしまった 女性『あなた・・本当にあの子は靖臣なのかしら・・・・』 男性『当たり前だ』 女性『でもあの子、まだ私をお母さんて呼んでくれないのよ    それどころかまるで他人の子供みたいに顔色をうかがって・・・』 男性『おい・・・少し落ち着くんだ』 女性『わたしもう耐えられない・・あんな靖臣見たくない・・・・』 男性『少し疲れているんだ・・・・・もう一度おちつけ・・・』 女性は男性の声も聞かずただ泣き続けた・・・・ 俺は布団の中に逃げ込み頭に枕をかぶってただ何かを恐れていた・・・・ それから数日後 若い男性が仕事で出張に行ったときのことだ 母といっていた女性が包丁のような物を持って俺の前に来た 女性『ごめんね靖臣、お母さんもすぐに行くからね・・・』 そこから先はよく覚えていない・・・・ ただその後意識が戻ったのは病院のベッドの中だった 爺ちゃんが見舞いに来たので詳しい話を聞いてみると 女性はノイローゼになっていたらしく、治療のために海外に行ったらしい 俺はただその女性に申し訳ないと思った 俺が原因だと言うのが小学生ながらにもわかっていたからだ それから俺は決して消えることのない傷と共に生きていくことになった 俺が女性に刻んでしまった傷の証と共に・・・・・ 鞠音「・・・先輩、もう昼休み終わっちゃいますから、また放課後に・・・」 靖臣「ああ・・・またな、鞠音」 鞠音にはいつもの元気はなかった、まあ仕方ないだろう、信じるにしろ信じないにしろ あまりにも酷な話なのだから・・・・・・・・・・ その後は普段通りの日常だった まだ記憶が保っているということだろう だがいつ失われるか、わからない そんな恐怖がずっと俺の心を蝕んでいた・・・・・ 後書きのようなもの 短くなってしまいました、まあゲームも後半に行くにつれて微妙に短くなってきてるけど 次回もまた短いです最終話も短いです、残り三話で本編終了ですが皆短いです ただその後のエピローグは少しまともかもしれません では次回会いましょう 感想お願いします メアド b-cless@mx15.freecom.ne.jp